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猫と小説と煩悩と

BL小説書きの日記です。内容にBLを含みますので、閲覧にはご注意下さい。

 

花鳥風月【小冊子SS】 

【花鳥の想い】

「……見送りにも行かないつもりか」
 部屋の入り口に立った燕勇にそう声をかけられて、床に座り込み、木の皮を編んで籠を作っていた花嬰はぐっと唇を引き結んだ。
 今日、雷全は竹林で保護した少年、李由と共に、この隠し里を出ていく。李由を隣の郡の太守、柳玄の元まで送り届け、そのまま柳玄に仕官するために。
「別に、好きで出ていく奴の見送りなんてする必要ないだろ」
 作業の手をとめず素っ気なく言った花嬰に、燕勇が小さくため息をつく。
「だからといって喧嘩別れしなくてもいいだろう。このままじゃお互い後味が悪いだろうが」
「…………」
 呆れたような声音で言う燕勇にはなにも答えず、黙々と籠を編み続ける。頑固者め、とまた燕勇がため息をつくのが聞こえてきて、花嬰は眉間に深く皺を寄せた。
 本当は、分かっている。
 雷全が彼の境遇と似ている李由を放っておけないことも、太子の遺児である李由は高度な教育を受けるべきで、それはこの里では叶わないということも。
 それでも快く送り出してやれないのは、雷全が柳玄に仕官するつもりだからだ。
(オレたちは、自由に生きるためにこの隠し里で義賊を始めたんだ。それなのに……)
 まだ宮廷に仕官していた頃、花嬰は政を改めるべきだという意見書を何度も上役に出しては突き返されていた。こんなものを書く暇があれば民から税を搾り取る方法を考えろと目の前で竹簡を叩き割られ、悔しくて悔しくて呑み屋で酔い潰れていた時に、雷全と出会ったのだ。
 雷全は、花嬰が卓の上に投げ出していた意見書を熱心に読み込み、いつか必ずこの悪政は終わると言った。いくら皇帝とはいえ、永遠に生きることなどできない。高齢の荘泰が身罷り、太子の李斎が帝位を継げば、きっとこの意見書が受け入れられる世の中になる。
 だからそれまで俺と一緒に義賊として生き、貧しい者たちを直接救わないか、と――。
(……李斎太子が亡くなった以上、この国が変わることはもうない。いくらその柳玄ってのが立派な人間だとしても、一郡の太守にこの国は変えられない)
 あるいは雷全はその可能性にかけているのかもしれないが、それは宮廷を知らないからだ。
 確かに皇族や高官たちは民から搾り取った税で贅の限りを尽くし、遊興に耽っているが、一方で宮廷は強大な軍事力を保有し続けている。
 誰も、皇帝には逆らえない。
「……こんな世の中で誰かに仕官するなんて馬鹿馬鹿しいことくらい、あいつにも分かってると思ってた。けど、そうじゃなかったってだけのことだ」
 数年間共に過ごしてきて、雷全ほど自由な男はいないと感じていた。
 あの男が誰かに仕えるなど、到底似合わない。
 呟いた花嬰に、燕勇が低い声でなだめるように言う。
「雷全だって、それはよく承知の上だろう。それでもあいつは、人生をかけて李由を育てようと決めたんだ。その決断は立派なことだと、俺は思う」
「…………」
「それに、雷全は義賊でおさまるような器の男じゃない。もっと多くの者を導くべき男だ」
「っ、それは……!」
 顔を上げた花嬰だったが、燕勇の話にはまだ続きがあった。
「……と、李由が言っていた」
「え……」
 目を瞠った花嬰に肩をすくめて、燕勇が言う。
「皆と別れさせることになって申し訳ないけど、それでも雷全は世の中に出るべきだと思う。雷全ならきっとふさわしい地位について、もっと多くの人を助けられるってな。……あの子はまだ幼いが、人を見る目はあるようだ」
「……李由が、そんなことを……」
 燕勇から明かされた李由の思いを聞いて、花嬰は茫然としてしまった。それをどう受け取ったのか、燕勇がため息混じりに言う。
「お前は雷全を想っているのだろうから、離れるのはつらいだろうが……」
「……オレが? 雷全を?」
「違うのか? 俺はてっきり、花嬰は雷全を好きなんだろうとばかり思っていたが」
 首を傾げる燕勇に、花嬰は呆れ果ててしまった。
「そんなんじゃないよ」
 確かに自分にとって雷全は特別だが、好きな相手なら別にいる。
(……全然気づいてないみたいだけどね)
 そうか、と無表情に頷く燕勇に内心ため息をついて、花嬰は立ち上がった。
「燕勇こそ、雷全に言われたからここに残ったんだろ? オレ一人じゃ大変だからって」
 一緒に行かなくて本当にいいのかと聞いた花嬰に、燕勇は腕組みして唸った。
「確かに雷全からそう言われたが、最終的に決めたのは俺だ。……俺は花嬰のそばにいる」
「そ。じゃ、これからもよろしく」
 ひらりと手を差し出して、花嬰はにっこりと美しく微笑んだ。
「頼んだぜ、相棒」
(……オレが誰を好きか気づきもしない相手に、誰がこっちから告白とかするかよ)
 意地っ張りな花の想いを、鳥はまだ知らない。





【風月の恋】

 月の綺麗な夜のことだった。
 翠嵐は愛馬を駆り、王都を取り巻く叛乱軍の本陣へと急いでいた。昼間に初めて会った育ての子供の育ての子供、李由に頼まれた通り、十数年ぶりに雷全に会うために。
(……こんな夜は、思い出してしまうな)
 十年前、崖から落ちて大怪我を負っていた明旬を助けたのも、美しい月夜だった。
 その名に月を宿した彼は、怪我がまだ癒えぬ内から必死に李由を探し回り、翠嵐は何度となく皇帝軍に見つかりそうになった彼を助け、連れ戻しては叱りつけた。
 折角助かった命を無駄にするなと叱る度、明旬は自分の命よりも大切な方がいるんです、自分はその方をお守りしなければならないんですと食ってかかってきた。李由が死んだという情報が入った時には一晩中泣き続け、挙げ句の果てに自ら命を断とうとまでして。
(あの時は本当に、……本当に大変だった)
 死なせてくれと泣き叫ぶ彼を懸命になだめ、叱る翠嵐に、明旬は問いかけてきた。
 大切な者を失っても生き続ける意味はあるのか。自分はこの先、なんのために生きていけばいいのか、と。
 翠嵐にとってその問いかけは、二度目だった。
 一度目は育ての子である、雷全。彼もまた、両親を殺された相手に復讐しようとして失敗し、この先どう生きていけばいいのかと苦しみ、同じ問いかけをしてきた。
 二人の問いに、翠嵐は同じ答えを返した。
『お前の命は、お前のためのものだ。なんのために生きるのかは、自分で見つけるしかない。だが、もしお前がその者の死に報いたいと思うなら、それは生きることでしか叶えられない』
 死んでしまったら、なにも成し遂げられない。
 苦しくても生きて、生きて、生き抜くことでしか、自分の人生に意味を持たせることも、大切な者への思いを貫くこともできない。
 そう説いた翠嵐に、二人はもがき苦しみながらも歯を食いしばって生きていくことを選んでくれた。翠嵐はそんな二人を支え、時に叱咤し、苦楽を共にして生きてきたのだ。
(自分の命よりも大切な者など最初から作らなければいいのだが、そうは言ってもままならないのが人の性だからねえ)
 かく言う翠嵐も、彼らのことは血を分けた肉親のように大切に思っている。人を大切に思うことで人生は輝きを増すことを教えてくれた彼らを、自分は死力を尽くして助けるだろう。
(……しかし、私がいくら言葉を尽くしたところで、李由くんという実際の存在にはやはり敵わないな)
 馬上で苦笑を零して、翠嵐は昼間の出来事を思い返した。
 この十年間で少しずつ明るさを取り戻していった明旬だったが、それでも時折ふっとつらそうな表情を浮かべることがあった。李由が生きていて、叛乱軍の旗頭となっているという噂を聞いた時も激しく動揺していて、主人の名を騙る偽物ではないかと何度も疑っていた。
 しかし今日、実際に李由と再会した明旬は、ずっと抑えていた感情が決壊したかのように涙を流して喜んでいた。李由から宮中に味方がいないか探るよう命じられた時には、これまで見たことのないような決然とした、活気に満ちた表情を浮かべていて。
(明旬にとって、それだけ李由くんの存在は大きいということだ。李由くんが生きていてくれた、そのことでようやく明旬は救われた……)
 よかった、と思うと同時にチリッと胸の奥が焦げつくような感覚が走って、翠嵐はおや、と目を瞠った。長らく感じたことのなかったこの感覚は、まさか。
「……嫉妬、しているのか、私は」
 驚きながらもそうとしか思えず、翠嵐は冷たい夜気に白い息を吐いた。
 もちろん、明旬が自分に恩を感じ、感謝してくれていることは重々承知している。先ほども別れ際に、李由様と再会できたのも翠嵐さんのおかげですと、彼から実際に礼も言われた。
 それでも大人げなく、やはり明旬にとっては自分よりも李由の存在が大きいのだと、そんな捻くれたことを考えてしまうのは、明旬の心が救われたことを喜びながらも、それを成し遂げたのが自分ではなかったことを面白くないと思ってしまうのは――……。
(いや、まさかそんな……。この年になって今さら私に色恋の感情などあるはずもない。それに、相手は明旬だぞ。この十年、息子のように大切に思っていたというのに……)
 動揺が伝わったのだろうか、丘を上がった愛馬が戸惑ったように速度をゆるめ、足をとめる。
 ブルルッと鬣を揺らす長年の友の首をぽんぽんと叩き、翠嵐は苦笑混じりに言った。
「……やれやれ、お前には私の気持ちなどすっかりお見通しか。すまないね、心配させて」
 思いがけないことで少し狼狽えてしまったが、この気持ちを否定するつもりはない。
 自由気ままな風のように生きたいと願い、雷全が一人前になったのを機に旅に出た。そんな自分が、雷全の時とは違って幼い子供でもなく、絶望から立ち直った明旬と十年も共にい続けたのは、そうしたかったからに他ならない。
 自分はきっともうずっと、優しく凜とした、あの月のような彼に心奪われていたのだ。
「老いらくの恋、か。さて、どうしたものかな」
 困ったね、とその言葉とは裏腹に楽しげな笑みを浮かべて、翠嵐は眼下に広がる叛乱軍の陣を見つめた。淡い月明かりの下、数多の戦旗が夜風になびいている。
「……まあ、すべては片がついてからだ」
 呟いた翠嵐は、ハッと声をかけ、腹を蹴って再び愛馬を走らせた。
 一陣の風のように草原を駆けるその瞳に、美しい月光を煌めかせながら――。





【比翼連理の愛】

 山と積まれた贈り物を前に、李由はハアとため息をついた。
「今年は祝儀の品は控えるようにって、ひと月前から触れを出していたはずなんだけど……」
 李由が新皇帝に即位して、およそ一年半。
 この日、李由は二十歳の誕生日を迎えた。目の前の贈り物の山は、その祝いの品々である。
 前年の誕生日に、宮廷の蔵を埋め尽くすほどの贈り物が届いてしまったことを受け、李由は今年の誕生日には祝儀の品を贈らないようにと、早くから触れを出していた。しかし、それにも関わらず毎日続々と贈り物が届き続け、結局はこの有り様となってしまったのだ。
「これじゃ、また蔵が埋まりそう……」
 眉を寄せた李由の隣で、品物の保管場所を女官に指示していた明旬が苦笑を浮かべる。
「皆、李由様のお誕生日をお祝いしたいのです。多少は目を瞑ってあげて下さい」
「……分かってるよ、明旬」
 中には皇帝である李由に取り入ろうという魂胆の者もいるだろうが、大半の者が心から自分の誕生日を祝ってくれていることは、李由も承知している。装飾品や日持ちのする菓子など、ずらりと並べられた贈り物を眺めながら、李由はふっと物思いに耽った。
(……そういえば、父上が亡くなった次の年からはずっと、雷全が誕生日を祝ってくれたっけ)
 最悪だった八歳の誕生日の翌年、九歳を迎えた李由はどうしても父のことを思い出してしまうのがつらくて、通っていた学び舎には向かわず、街から少し離れた丘まで歩いていった。
 大きな木の下にしゃがみ込んでたくさん泣いて、泣いて、泣き疲れて沈んでいく夕陽をぼんやり眺めていたら、雷全が迎えに来てくれた。一緒に家に帰ると、それほど料理が得意ではない雷全が一生懸命作ってくれたご馳走の数々がたくさん並べられていて――。
(美味しかったなあ、あの時のご飯)
 雷全が作ってくれた料理は、どれも少し焦げかけだったり、味付けが微妙だったりしたけれど、それでもとても美味しく感じられた。
 自分は一人ではないのだと改めてそう思えて、以来李由は誕生日に泣くことはなかったのだ。
(今日くらい、雷全と一緒に一日過ごせたらなあ。まあ、無理だろうけど)
 大将軍の職を退き、近衛隊長として常にそば近くにいてくれようになった雷全だけれど、昼間は当然職務として李由の身辺警護にあたっている。李由も政務に追われていることもあり、毎日一緒にはいるものの、あの頃のように二人きりでのんびり過ごすことは滅多にない。
(まあ、夜くらいは一緒にゆっくりご飯食べられたらいいな)
 あの九歳の誕生日に雷全が作ってくれた料理のことを話したら、恋人はどんな反応をするだろうか。李由がくすっと笑みを浮かべた、その時だった。
「お、ここにいたのか、李由」
 廊下の向こうから、当の雷全が姿を現す。その手には、柳で編んだ美しい行李があった。
「雷全? それは?」
「ん、俺からお前にな。去年は間に合わなかったから、今年になっちまった。祝儀の品はなしでって話だが、まあ受け取ってくれや。……誕生日おめでとう、李由」
 少し照れくさそうに言う雷全から行李を受け取って、李由はお礼を言った。
「ありがとう、雷全。開けていい?」
 おう、と頷く雷全の前で、行李の蓋を開ける。するとそこには、紫紺の長衣と、揃いのやわらかな布張りの靴が納められていた。
 それはまさに、八歳の誕生日に李由が父から贈られた衣装と同じ品物で――。
「これって……、まさか、父上が作ってくれたのと、同じ?」
「ああ、意匠は少し今風に変えて、寸法も今のお前に合わせたけどな。生地はその時のと同じやつだ。……明旬に協力してもらった」
 ありがとな、と笑う雷全の横で、明旬が微笑む。
「雷全殿から相談を受けて、当時李斎様が注文を出された仕立屋を探したんです。よろしければ、今日はそちらをお召しになって雷全殿とごゆっくりお過ごし下さい、李由様」
「……っ、いいのか?」
 政務は、と目を瞠った李由に、明旬が苦笑する。
「たまにはお二人でゆっくりされる日を設けないと、雷全殿はすぐに李由様を連れて宮殿を抜け出してしまわれますから。知らぬうちにお忍びでどこかに出かけられるよりましです」
 衝立の陰で李由の着替えを手伝った明旬が、女官たちと共に拱手して退室する。
 真新しい紫紺の長衣に身を包んだ李由は、雷全の胸に飛び込み、ぎゅっと抱きついた。逞しい腕で李由を受けとめた雷全が、苦笑を浮かべる。
「ったく、いつまで経っても子供みてぇだなあ、李由。いっこ大人になったんだろうが」
「だって嬉しかったから! ありがとう、雷全。大事にする!」
 おう、と目を細めた雷全が、李由を抱きしめ、唇を寄せてくる。その綺麗な琥珀色に吸い込まれるように瞳を閉じて、李由はやわらかなくちづけを受けとめた。
 ――この人がいなければ、自分の世界はきっとなにもかも色褪せてしまうだろう。
 花の匂いも、鳥の囀りも、風の涼やかさも、月の美しさも。
 この世界が素晴らしく思えるのはすべて、雷全がそばにいてくれるからだ。
「……愛してる、雷全」
 そっとくちづけをほどいて告げた李由に、俺もだ、と雷全が囁き返す。
 こつんと額を合わせ、互いの手を握りしめ合って、二人はくすくすと微笑んだ。
 比翼の鳥のように、連理の枝のように、その胸にたった一つの愛を、咲かせて。
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サイン会お礼 

6/29書泉ブックタワーさんにて、サイン会を開催していただきました!
小雨の降る中おいで下さった皆様、本当にありがとうございました。
また、このような機会を設けていただきました徳間書店さん、設営から細やかにお心遣い下さった書泉ブックタワーさん、お花を送ってくれたお友達にも、心から感謝申し上げます。
素敵な会にしていただき、本当にありがとうございました!


さて、今回このお話があった時からずーっと緊張していた私ですが、日が近づくにつれだんだん開き直りまして。
折角の機会、パニックでおろおろしていたら勿体ないし後悔するし、なにより来て下さる方に楽しんでいただきたいな、と。
以前一度だけお邪魔させていただいた漫画家さんのサイン会の時はどんなご様子だったかな、どんな言葉をかけていただいたっけ、と思い出して臨みました。
とはいえ、いざ始まるとやっぱり緊張してしまって、手が震えてしまったり上手にお喋りできなかったりしたのですが、それでも皆さんあたたかくお声がけ下さって、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
会場は衝立で仕切られていたのですが、お待ちいただいている場所にお花がたくさん飾られていて、皆さんがお花の撮影会をされているのが聞こえてきたので、私もその撮影会に参加したい……、仲間に入れて下さい……!と心底思っていました。
お花については、終わってからゆっくり写真を撮らせていただいたので、そちらはツイッターに上げさせていただきますね。
中には遠方から来て下さったり、お花を持ってきて下さった方や、バルーンアートをプレゼントして下さった方もいらして、嬉しい驚きでした。
私がツイッターで紅茶が好きですとか、お手紙がいいですと呟いたこともあって、プレゼントやお手紙もたくさんいただいてしまって、お気遣い本当にありがとうございました。
手ぶらですみませんと仰られていた方もいらっしゃいましたが、もう来て下さるだけで本当に嬉しかったです。
新刊は発売直後ということもあって、これから読むんですと楽しみにしてくださっている方がやはり多かったのですが、中には徹夜で読んできましたという猛者もいらっしゃって、その場でご感想をいただけたのがとても新鮮でした。
脇役のことを気にして下さる方がやはり多かったので、小冊子のSSでちょっと書いておいてよかったなと心底思いました。
他にも、この作品が好きですとか、こういうお話が読みたいですとか、たくさんお話してくださって、ありがとうございました。
イベントでお顔を覚えている方や、お手紙でお名前を覚えている方もちらほら来て下さっていて、嬉しくてこちらから「イベントでいつもありがとうございます」とか話しかけてしまったのですが、ストーカーみたいで申し訳ありませんでした……!
いっぱい活力をいただいたので、昨日の幸せな時間を思い返しつつ、新しい作品に取り組みたいと思います。
ご参加下さった皆様、本当に本当にありがとうございましたv


サイン会でお配りした小冊子のSSですが、長くなるので別の記事に上げさせていただきますね。
「花鳥風月」というタイトルで、「花鳥の想い」「風月の恋」「比翼連理の愛」という3篇のSSになります。
「花鳥の想い」は花嬰と燕勇のお話で、作中で雷全が隠れ里を出ていく時のお話です。
「風月の恋」は翠嵐と明旬のお話で、作中で李由に頼まれた翠嵐が雷全の元に向かう時のお話です。
「比翼連理の愛」は主人公李由と雷全の後日談です。
花鳥と風月の方は脇役たちがちょうどそれぞれに当てはまる名前だったのですが、彼らの名前は最初から意識して花鳥風月にしたわけではありませんでした。
花嬰と燕勇はなんとなく、覚えやすく花と鳥がいいかなという意図はあったのですが、翠嵐と明旬は後から、そういえば名前に風月が入ってるなと気づいた感じです。
主役二人の周囲を彩る彼らの恋模様も、お楽しみいただければ幸いです。
小冊子はたくさん刷ったので、もし欲しい方がいらしたら、出版社宛にご感想のお手紙をいただけたら、お返事と一緒に送らせていただきます。
よろしかったら是非ご感想お聞かせ下さいv

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告知【文庫】【サイン会】 

立て続けですが、新刊発売のお知らせです。
6/27にキャラ文庫さんより『興国の花、比翼の鳥』が発売になりました。
イラストは夏河シオリ先生です。
諸事情で発売直前にイラストの先生が変更になり、本当にお時間のない中でお願いすることになってしまったにもかかわらず、とても素敵なイラストを描いていただきました!
今回ご紹介のためにiMovieで動画を作ってツイッターに上げたのですが、その際に使わせていただいたデータが本当にどこまで拡大しても美しくて、ついついアップの画を多めにしてしまいました。
中の挿絵もとても魅力的なので、是非お確かめ下さいv


お話としては、中華風歴史ファンタジーになります。
皇帝である祖父に、無実の罪で父を殺された8歳の李由は、追っ手から逃げていたところを、義賊の雷全に拾われる。
最初は皇帝への復讐に燃えていた李由だが、養い親となった雷全に諭され、前向きに生きるように。
それから10年、雷全に恋した李由はまっすぐ告白するが、雷全はお前の気持ちは一時的なものだと取り合ってくれない。
それでも雷全に想いを伝え続ける李由だが、そんな折、二人を匿ってくれていた太守が謀反の疑いで捕らわれ――。


後書きでも少し触れていますが、このお話は史実から想像を膨らませて書いたお話です。
もともとこういう歴史ものが好きなので、がっつり史実に沿って書いてみたい気持ちもあったのですが、今回はあくまでもファンタジーということで、装束や風俗は雰囲気優先で書いております。
なので、貴種流離譚の要素とか、攻めが受けを育てる光源氏の要素とか、叛乱とか戦いとか、私の好きなものを集めた中華風ファンタジーになりました。
義賊の攻めなら絶対兄貴肌な攻めがいいなあとか、ちゃんと戦えるし美形なんだけど少年っぽさも残している受けの成長も描きたいなとか、中華歴史風なら脇役はいっぱいいないととか、振り返ると本当に好き勝手に書いた感が強いです。
特に脇役はいつもよりだいぶ多めで、書いている中で予定外のキャラがぽこぽこ増えていきました。
おまけに初稿も改稿も、時間的にとてもタイトな日程で書き上げたので、なんというか私にとっては嵐のような作品になりました。
この間書き上げたばかりのはずなのに、もう本になっている現実にちょっとまだついていけていないです(笑)
でも、それだけ勢いのある作品になったかなとも思います。
久々の人間同士のお話、是非よろしくお願いいたします!


そしてそして、今回この『興国の花、比翼の鳥』で、初めてサイン会をさせていただくことになりました。

書泉さんイベント案内ページ

というか、もう週末に迫ってきているのですね……。
ここ最近、考えれば考えるほど緊張してしまうのでなるべく意識しないようにしていたのですが、あと数日もないと思うとちょっともう緊張どころの話ではない……。
BL作家としてやっていくにあたって、いくつか目標や野望を持ってはいるのですが、サイン会というのはまったく思いつきもしていなかったので、お話をいただいた後、実は2、3時間ほどずっと放心していました。
こんなありがたい機会は一生に一度しかないと思ったので、ものすごく思いきってやらせていただくことにしましたが、上がり症で緊張しいなので正直めちゃくちゃ不安です。
でも、参加して下さる方に楽しんでいただくことが一番だと思うので、心を込めてサインさせていただこうと思います。
頑張ってお話もできたらいいなと思うので、是非是非話しかけて下さると嬉しいです。
握手やハグも大歓迎なので、もしよかったらお声がけ下さい……!
また、当日はお土産として番外編の小冊子をご用意しております。
こちらの小冊子のSSについては、また後日、このブログに上げる予定です。
だいぶ余分に刷ったので、もし紙の形で欲しい方がいらしたら、『興国の花、比翼の鳥』のご感想のお手紙を出版社さん宛に送っていただければ、お返事と一緒にお送りいたします。
ちょっと時間はかかってしまうかもしれませんが、遠方でサイン会の参加は無理という方にもお届けできたらいいなと思います。

それでは当日いらしていただける方、お会いできるのを本当に楽しみにしております。
どうぞよろしくお願いいたしますv

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告知【ノベルス】 

新刊発売のお知らせです。
6/19に『白狼王の幸妃』が発売になりました。
『白狼王の愛嫁』、『白狼王の恋妻』に続くシリーズ第3作目です。
前作が発売になってから、ありがたいことに続きはまだですかと何人もの方々にお声掛けいただいていたので、ようやく発売となった今は、お待たせしましたー! という気持ちでいっぱいです。
恋妻の時にも書きましたが、こうして続きを出すことができたのは、出版社に続編をとお声を届けてくださった方々のおかげです。
シリーズものとはいえ、いくら作者が続きを書きたくてもそれだけでは書けないので、お力添えくださり、本当にありがとうございます。
少しお待たせしてしまいましたが、お楽しみいただけたら幸いです。


さて、今回は前作の恋妻から3年ほど経ったお話になります。
3才になった息子、ルトと共に穏やかに暮らしているウルスとアディヤ。
しかしそこに、自分はウルスの双子の兄だと名乗る獣人、ダラスが現れます。
一体彼は何者なのか、何故王位を狙うのか。
混乱の中、ルトが強大な力に目覚めてしまいーー。
という、また波乱続きなお話です。


イラストは今回も葛西リカコ先生がご担当くださいました!
何度も書いてしまうのですが、葛西先生のイラストは本当に細部まで美しくて!
刺繍が刺繍なんですよ……。
イラストなのに本当に刺繍されているかのようで、毎度のことながらこの刺繍はどう描いていらっしゃるのか、とても不思議でたまりません。
表紙も繊細な白いお花を背景に、親子3人の幸せな一場面を描いてくださっています。
アディヤとウルスといえばお膝抱っこですが、3作目にしてついに表紙がお膝抱っこになりました。
少し成長したアディヤと無邪気なルト、美しいウルスと、どこを見ても見飽きることのない表紙です。
中の挿し絵もどれも素敵で繊細なので、是非是非じっくりご堪能いただけたらと思います。


3作目にしてついに、という点ではもう一つ、今回の白狼王は二段組でお送りしています。
今まではなんとか普通のノベルスの体裁におさまっていたのですが、案の定私が書きすぎましたよね……。
とはいえ、他の獣人ものは二段組ばかりなので、もうお馴染みかな?
たっぷりのボリュームでのお届けとなったのは、まず間違いなく新登場のダラスさんのせいです。
兄貴肌で面倒見がよく、隻眼で青い民族衣装とか、それはもうページ数が嵩むに決まっていますよね。
ダラスさんはウルスとも互角に渡り合える強さなので、二人が戦うシーンなどもとても楽しく書きました。
彼を慕う仲間たちも個性的な子たちで、特にルトとのやりとりはもっともっと書きたかったくらい楽しかったです。
今回も一波乱も二波乱もあるお話となりましたが、アディヤとルトが目に入ると抱っこせずにはいられないウルスだったり、妃としてウルスを支えるアディヤだったりと、甘々もたっぷり詰め込みました。
お久しぶりの白狼王、是非お楽しみ下さい!

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J.GARDEN46お礼 

J.GARDEN46に参加してきました!
今回は初のお誕生日席とあって、開催前からド緊張していたのですが、おかげさまで大きな混乱もなく、楽しいイベントとなりました。
雨の中スペースまで足をお運び下さった方々、お声がけ下さった方々、本当にありがとうございました。
差し入れやお手紙もたくさん頂戴して、荷物の整理をしていて嬉しさのあまりうっかり泣きそうになりました。
どれも大事に食べたり読んだりさせていただきますね。
ちょっと時間がかかってしまうかと思いますが、ご住所をご明記下さったお手紙にはお返事致しますので、今しばらくお待ち下さい。

新刊は、合同誌「10th Anniversary」も個人誌「sweet,sweet,sweets」もたくさん搬入したので完売にはならなかったのですが、それでも予想以上に多くの方にお手にとっていただけて、とても嬉しかったです。
中には10周年おめでとうございますと言って下さる方もいらして、まさかそんなお言葉をいただけると思っていなかったので嬉しい驚きでした。
なんというか準備期間中は一人でお祭りを開催して一人で楽しんでいたので、一緒にお祭りしていただけるんだ……!ととても感動してしまいました。
合同誌もSS集も、今までの感謝をめいっぱい込めて書いたので、楽しんでいただけたら幸いです。
よろしければ是非ご感想などもお聞かせ下さい。

通販についてですが、現在「10th Anniversary」のコミコミスタジオさん通販は品切れとなっています。
追納については相談・調整がつき次第、ツイッターなどでお知らせさせていただきます。
「sweet,sweet,sweets」の方は引き続きコミコミスタジオさんでお取り扱いいただいております。
「白狼王の愛嫁 番外編再録集1」はまだお取り扱いまで時間がかかるようなので、こちらも取り扱いが始まり次第、アナウンスさせていただきますね。

あとはツイッターでもちらっと告知させていただきましたが、『白狼王の愛嫁』の三作目が今夏に発売予定となります。
詳細は決まり次第お知らせさせていただきますが、こちらも是非是非一緒にお祭りを楽しんでいただけたら嬉しいです。

ではでは、いつも通り今回のペーパーのSSを載せておきます。
『ユキヒョウの獣愛』のジュストが、ディオルクと初対面したお話です。
紙で欲しいという方は、出版社宛にお手紙いただけたらお返事と一緒にお送りしますのでお気軽にどうぞ。
それではどうぞ、お楽しみ下さい。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

『ユキヒョウの獣愛』番外編  「族長の弱点」

 それは、ティタの母が無事意識を取り戻し、病が快方に向かった翌日のことだった。
「お初にお目にかかる。ディオルクと言う」
 遅れてしまっていた挨拶を兼ねて、ティタの母の病状の報告をと族長の館を訪れたジュストの前に現れたのは、威風堂々としたサーベルタイガー獣人、ディオルクだった。
(彼がティタの尊敬する族長、か)
 旅の途中、ジュストの恋人のティタは、自分の一族の族長は強く美しく、まさに完璧なのだと褒めちぎっていた。その言葉通り、目の前のディオルクは他のどのサーベルタイガー獣人よりも立派な牙と体格、そして見事な黄金の被毛の持ち主で、長としての貫禄と威厳に満ちている。
 ジュストとて、生まれつき獣人姿になれないティタが彼に憧れるのはごく自然なことだし、そこに恋愛感情はないと、理解はしている。だが、面白くないものは面白くない。
 内心複雑な感情を覚えつつもそれを表情には出さず、ジュストは白銀の被毛に覆われた己の手を差し出した。
「挨拶が遅れて申し訳ない。ユキヒョウ族の族長、ジュストだ。この度は世話になる」
「なにを仰る。世話になったのはこちらの方だ。あなた方ユキヒョウ一族の薬で、ティタの母は命をとりとめた。旅の道中、ティタも随分世話になったと聞いている。我が一族の者を助けて下さって、お礼の言葉もない」
 ジュストの手をがっしりと握り返したディオルクが、そう言って深々と頭を下げる。いかにも義に厚いサーベルタイガー一族の族長らしいその言葉と態度に、ますます複雑な気分になったジュストだったが、顔を上げたディオルクは思いもかけないことを聞いてきた。
「……時にジュスト殿。貴殿、狩りは得意か?」
「は……?」
 アイスブルーの瞳を瞬かせたジュストに、ディオルクが大真面目な顔でもう一度、狩りだ、と繰り返した。


 どさ、と捕ってきた獲物を山積みにして、ジュストは肩で息をした。
「……っ、さすがに、これだけ捕ればよかろう」
 慣れない土地での狩りとあって、最初は獲物の潜んでいる場所を探すのに少し苦労したが、どんなハンデがあったとしても引くわけにはいかない。――狩り勝負ときては。
 ディオルクがジュストに申し込んだのは、獲物の数を競う狩り勝負だった。何故突然そんなことを、と驚いたジュストだが、申し込まれた勝負を辞退する選択肢はない。
 サーベルタイガー一族の集落付近の森でそれぞれ獲物を狩ることになり、数時間。そろそろ終わりかとジュストが空を見上げたところで、繁みからディオルクが姿を現す。
「ああ、ジュスト殿。……おお、結構な数を捕られたな」
 そう言うディオルクも、背後の若者たちに背負わせた獲物の数はなかなかなものだ。数を数えた彼らが、同数ですと報告するのを聞いて、ジュストは苦笑して言った。
「引き分けのようだな、ディオルク殿」
「ああ、そうだな。……では次は、料理で勝負だ」
「……次?」
 まだ勝負を続ける気か、一体なんのために、とジュストが戸惑った、その時だった。
「いい加減にして下さい、ディオルク」
 ガサガサと繁みをかき分けて、小柄な人影が姿を現す。それは、どう見てもサーベルタイガー一族の者ではなく、ただの人間だった。銀色の髪のその青年にたしなめられたディオルクが、途端にバツの悪そうな表情を浮かべる。
「ルシュカ……、だが」
「ジュストさんは、ティタの選んだ方なんですよ。こんなことをして試す必要がどこにあるんですか」
 まるで叱るような口調のルシュカは、確かディオルクの伴侶となった、カーディアの元第二王子のはずだ。
「……試すとは?」
 尋ねたジュストに、ルシュカが説明する。
「申し訳ありません。ディオルクは生前ティタのお父さんと懇意にしていたので、勝手にティタの父親代わりのようなつもりでいるんです。それで、ジュストさんがティタに相応しい相手かどうか見定めようとしたんだと思います」
「……すまなかった。今日お会いして、ジュスト殿はいかにも立派な族長だと感じたが、それでもティタが心配でな」
 どうやら複雑な思いを抱いていたのは、ジュストだけではなかったらしい。
謝ったディオルクに、ルシュカが優しく微笑みかける。
「さ、ディオルク。早く帰って、この獲物でジュストさんたちをおもてなしする料理を作りましょう」
「ああ。ジュスト殿、詫びに腕を振るうから、是非食べていってくれ」
「あ……、ああ」
 心なしかしゅんとしているディオルクに頷き返しながら、ジュストは内心苦笑してしまった。
(……こちらの族長の弱点も、私と同じく己の番、か)
 夕焼けの向こうから、茜色の髪の少年が駆けてくる。
 愛らしい自分の伴侶に片手を上げて応えて、料理のできないジュストは心底ほっと、胸を撫で下ろしたのだった。

2019.3.3 J.GARDEN46フリーペーパー

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